過積載の罰則 2022.11.21

貨物車の過積載における罰則は?罰金・違反点数を分かりやすく解説

貨物車の過積載における罰則は?罰金・違反点数を分かりやすく解説

貨物車で過積載をしてしまうと、大きな事故や車両の破損といったリスクだけでなく、違反点数と反則金が課せられる罰則があるのをご存知ですか?

過積載をした場合、罰則の対象はドライバー、運送事業者、荷主など広範囲に罰則が及びますので、事前に知っておくことが大切です。

この記事では、貨物車の過積載における罰則対象、罰金・違反点数について解説します。

貨物車の過積載(かせきさい)とは?

「過積載」とは、道路運送車両法で制定されている最大積載量を上回る荷物を車両に載せた状態で運送することです。

分かりやすくいえば、必要以上に車両に荷物を乗せ過ぎた状態です。

近年、運送業界は慢性的な人手不足に悩んでいる会社が多く、コスト削減と効率化のために1台の車両に大量の荷物を積んで、一気に配送しようとするケースが多く見られます。

そういった運送会社の事情があるため、「過積載」は事故につながるリスクがあると把握しながらも、過積載で走行する車両が増えているのが現状です。

最大積載量の計算方法

ここでは、最大積載量の計算方法をみていきましょう。

▽最大積載量の計算方法
最大積載量(kg)=車両総重量-車両重量-(乗車定員×55kg)

▽車両総重量の計算式
車両総重量=車両全体の重量+乗車定員全員分の体重+最大積載量

最大積載量はトラックなど貨物用自動車の車検証に表示されています。
※乗用車は荷物を積載して運ぶ専用車ではないため、特に記載がありません。

過積載は違法!過積載の罰則(違反点数・罰金)は?

貨物車の過積載における罰則は?罰金・違反点数を分かりやすく解説 最大積載量を超えて走行すると、道路交通法(第57条)、道路法(第47条)、
貨物自動車運送事業法(第17条)において違法となり以下の罰則が課せられます。

▽大型車の場合

  違反点数 反則金
過積載の割合が5割未満 2点 3万円
過積載の割合が5割以上10割未満 3点 4万円
過積載の割合が10割以上 6点(免許停止) 6ヶ月以下の懲役 または10万円以下の罰金

▽普通車の場合

  違反点数 反則金
過積載の割合が5割未満 1点 2万5千円
過積載の割合が5割以上10割未満 2点 3万円
過積載の割合が10割以上 3点 3万5千円

2015年から最も厳しい罰則が追加されました。最大積載量の2倍を超えた場合、運転手は即時勧告の対象となり、6点減点、100万円以下の罰金刑となるため、十分に注意が必要です。

参考資料:国土交通省「しない・させない過積載」 https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/gifu/yusou/kamotsu/kasekisai.pdf

過積載の罰則対象は?

過積載の罰則対象は運転手、事業主、荷主など広範囲に及びます。

▽運転手への罰則
過積載があった場合、車種と過積載の割合による違反点数・反則金を支払います。
民事訴訟による損害賠償責任を負うこともあります。

▽事業主への罰則
事業者は、違反内容と過去の過積載摘発回数によって車両の使用停止の処分を受けます。
悪質な場合は事業の許可・運行管理者資格を取り消しされる可能性もあります。

車両の使用停止日数の処分基準

  初回 2回目 3回目 4回目
過積載が10割以上 30日 80日 200日 500日
過積載が5割以上10割未 20日 50日 130日 330日
過積載が5割未満 10日 30日 80日 200日

▽荷主への罰則
再発防止命令が出された後に過積載をした場合、荷主には6月以下の懲役または10万円以下の罰則が科せられますので、事前に過積載のチェックが必要です。

過積載に罰則がある3つの理由

貨物車が過積載の状態で走行すると大きな事故に繋がる可能性があるため、過積載の車両は違反となり、罰則の対象となります。罰則がある理由は以下の3つです。

①ブレーキが効かなくなる

過積載の状態で走行すると、ブレーキをかけてから車両が止まるまでの距離(制動距離)が長くなるため、ブレーキが効かなくなる危険性があります。

特に下り坂ではスピードが増すので、ブレーキを踏むと摩擦により高温となって、ブレーキの機能性が落ちて、ブレーキが効かなくなり、事故が起きやすくなります。

②バランスを崩して横転のリスク

荷物を乗せすぎの状態では重心が高くなるので、車体のバランスが悪くなり、左右に揺れて横転したり、カーブを曲がりきれない、対向車線へはみ出すリスクもあるため危険です。

③道路や周辺への悪影響

国土交通省のデータによれば、道路橋の劣化要因は90%が過積載の大型車両だと報告されており、公共の道路や橋の損壊や環境公害にも繋がるため、過積載の罰則が強化されています。

参考資料:国土交通省「大型車両の通行適正化の取組について」
https://www.mlit.go.jp/common/001046642.pdf

まとめ

過積載は大きな事故の原因になるだけでなく、運転手・事業者・荷主が揃って罰則を受けることになります。
安全に業務を行うためにも、日頃から過積載の確認強化に努めましょう。