過積載とは?罰則が厳しい3つの理由と対策法を徹底解説
トラックやダンプなどの貨物車に荷物を乗せ過ぎた状態で走行すると、大きな事故を引き起こす原因になり、違反点数や罰金、事業停止処分などの厳しい罰則を受けることになります。
この記事では、近年「過積載」が増えている背景と厳しい罰則が設定されている3つの理由について解説します。罰則を避けるための対策法も合わせてみていきましょう。
過積載とは?分かりやすく
「過積載(かせきさい)」とは、トラックやダンプカーといった貨物車の荷台に道路運送車両法で定められた最大積載量を超えた荷物量を積んだ状態で走行する行為のことです。
近年、運輸業界は厳しい人手不足に悩んでおり、一気に大量の荷物を運んでコスト削減を図るため、一台の車両に最大積載量を超えた荷物量を乗せたまま走行するケースが増えています。
また、運送業界の規制緩和や構造改革により、同業者間の競争が激しくなっている背景もあって、過積載の車両を運転するケースが増えているのが現状です。
車両の最大積載量を超えた状態で走行する「過積載」は大変危険で大きな事故を発生させる原因となり、道路交通法や貨物自動車運送事業法などに触れる違法行為となります。
過積載の罰則は運転手だけでなく、事業者や荷主も幅広く対象になりますので、必ず最大積載量を守って安全運転することが大切です。
過積載を防ぐため最大積載量を確認しよう
貨物車にはそれぞれ車両によって「最大積載量」が決められています。過積載を防ぐためにも、貨物車の最大積載量を把握しておきましょう。
トラックやダンプカーなどの貨物車両には車検証に最大積載量が記載されています。乗用車は荷物運搬専用ではないため、最大積載量の記載がありません。
▽最大積載量の計算方法
最大積載量(kg)=車両総重量-車両重量-(乗車定員×55kg)
▽車両総重量の計算式
車両総重量=車両全体の重量+乗車定員全員分の体重+最大積載量
▽【車両別】最大積載量と車両総重量の目安
・小型トラック
最大積載量はおよそ3トン以内
車両総重量はおよそ4.5トン以内
・中型トラック
最大積載量はおよそ6トン以内
車両総重量はおよそ11トン以内
・大型トラック
最大積載量はおよそ8〜11トン以内
車両総重量は20トン
・ダンプカー
最大積載量は小型が3トン、中型が6.5トン、大型が6.5トン以上
・増トントラック
最大積載量はおよそ8トン以内
車両総重量は最大15トン
・減トントラック
最大積載量は2トン以下
過積載の厳しい罰則の内容
過積載の罰則は重量の割合に応じて、違反点数と反則金のペナルティがあります。
▽大型車の場合
違反点数 | 反則金 | |
---|---|---|
過積載の割合が5割未満 | 2点 | 3万円 |
過積載の割合が5割以上10割未満 | 3点 | 4万円 |
過積載の割合が10割以上 | 6点(免許停止) | 6ヶ月以下の懲役 または10万円以下の罰金 |
過積載の罰則は運転手のほか、運送会社や荷主側にも課せられます。
・運転手の罰則
道路交通法により、車種と過積載の割合に応じて違反点数と反則金が科されます。
損害賠償が発生する場合があります。
・トラック運送事業者
貨物自動車運送事業法が適用され、車両停止処分となります。
違反を繰り返した場合、車両停止期間が延長され、事業許可の取消、運行管理者の資格が取り消されることがあります。
・荷主の罰則
道路交通法により、過積載と知りながら取引した場合、再発防止命令が勧告されます。
再発防止命令に違反した場合は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金となります。
過積載の増加に伴う罰則強化
運送業界で過積載による事故が増えている現状を受けて、全国の高速道路会社は車両制限令の見直しを行い、2017年4月から違反項目に軸重超過が追加され、罰則が強化されました。
▽罰則が強化されたポイント
・違反点数の累積期間を3カ月から2年間に変更
・繰り返す悪質な違反の対応強化
・高速道路利用料の一部割引停止措置
警察署長から再発防止命令が勧告されると、6カ月以下の懲役もしくは10万円以下の罰金を課せられ、運行管理者資格証の返納命令を受けて事業所資格取り消しになるため要注意です。
過積載に対する罰則が厳しい3つの理由
ここまで見てきたように、過積載に対する罰則は年々厳しくなっており、取り締まりも強化されています。その理由は以下の3つが挙げられます。
①事故の危険性
過積載の最も大きなリスクは事故を引き起こす原因となることです。荷物を過度に載せて走行すると、ブレーキをかけてから実際に車両が止まるまでの制動距離が長くなります。
ブレーキをかけても効かなくなり、他に車を巻き込む衝突事故になったり、カーブする際には車体のコントールができずにバランスを崩して横転することもあります。
②車体の劣化・消耗が激しくなる
会社の利益向上のためと思って最大積載量を無視しても、車軸やタイヤに大きな負荷がかかり、車両の寿命は短くなります。車体の劣化が早まり、パンクや脱輪のリスクも高まります。
③道路や道路橋の破損・陥没など
過積載によって車体のバランスが崩れて荷崩れを引き起こすと、荷物のダメージはもちろんのこと、他の車や道路、道路橋が破損したり、ひび割れ、陥没することがあります。
道路が陥没した場合、水道管破裂の事故を引き起こす可能性もあり、非常に危険です。さらには排気ガスやエンジン音の被害、周辺への環境にも悪影響を及ぼすのです。
過積載を防止する対策法
過積載かどうかは一目見ただけではなかなか分かりにくいものです。
運送する前に最大積載量の目安を知り、自重計やスケールを使って実際に積載量を測定します。過積載になっていないことを確認したら、測定結果を写真に撮り、記録を管理します。
今からできる対策法を取り入れて予防しましょう。
まとめ
過積載は多くの人の命に関わる危険な違法行為です。重い罰則が科せられるだけでなく、事業停止になることもあるため、徹底して防止対策を図ることが大切です。